【ONEー起動ー】
2025年3月。
あの日は疲れていた。
そしてあの出来事が起きた。
そう、臨死体験。
この現実世界に焦点を合わせていた意識は、
一気に巨大な広がりになり瞳の裏に入った。
広がった意識は、「全て」になっていた。
二元論を超えた大きなものが自分にはあった。
そこには、言葉はなかった。
誰かが教えてくれたわけでもない。
「体感」としてそれらを感じた。
広がった自分の意識は、
集中力を使って焦点を合わせないと、
この現実世界を見ることが出来なかった。
その広がった自分の意識からは、
この現実世界はまるで「映画」のように見えた。
「上映し終わったエンドロール」。
現実の全ての景色が密度が濃くて固い。
この現実世界は次元の末端で終点だった。
ずっと現実の外側を知りたいと、
真剣にいつもそう思っていたけれど、
「まさか、こんな構造だったなんて」
と。ショックだった。
まるで淡々と作用する仕組みだった。
全てがひとつになっていた世界だった。
外側の世界から戻ってきた自分は
見てきたものを表現することは出来なかった。
自分の身体がアバターのように感じた。
現実感があるような、ないような感覚だった。
誰に何を言えばいいのかも分からない。
相手に何を伝えたいのかも分からない。
そして半年間の
空白期間を経て言語化することが出来た。
自分のこの体験が、
結果何になっていくのかは、
このときはまだ知らなかった。
なぜ毎日毎日書いているのかも。
けれど、
これだけは分かっていた。
過去に何かがあったのかもしれない。
未来からのサインを拾っているのかもしれない。
理由はないけど、こうだと思った。
「書き続けることが自分の伏線」なのだと。
遠い昔になされた会話。
彼はこう言った。
「僕が何かを作るよ。
今の僕たちにそっくりな何かを」
そして、こう答えた。
「たとえこの世界で全部を忘れても、
絶対に思い出すって決めてるからね」
自分が思い出すと決めたことに、
この時はまだ気付いてはいなかった。
この体験が起動スイッチだったことも、
まだ知らなかった。
「ONE」、私たちは動き始めたばかりだった。

